■天守に棲む妖怪■

木下家定が城主であった時代の事。姫路に立ち寄った宮本武蔵が名前を隠して足軽奉公をしていた。
その頃、城に妖怪が出るという噂が広まっていたが、武蔵が平気で夜の出番を勤めていたことが家老の耳に入り、名高い武芸者であることが知られてしまう。
木下家の客分にとりたてられた武蔵に、妖怪退治の命が下った。武蔵はある夜、灯ひとつを持って天守閣に登り、3階の階段にさしかかった時、凄まじい炎が吹き降り、地震のような音と振動が…。武蔵が腰の太刀に手をかけると、辺りはまた元の静けさに戻ったという。4階でもまた同じことがあったが、構わず天守へ登り、明け方まで番をしていたところ、美しい姫が現れ「われこそは当城の守護神、刑部明神なり。その方がこよい参りしため、妖怪は恐れて退散したり。よって褒美にこの宝剣を取らす。」といって姿を消した。武蔵の前には白木の箱に入った郷義弘の名刀が残されていたと云う。
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